ウェクスラー式知能検査(WAIS・WISC)は現在最も普及している知能検査の一つです。 前にこちらの記事で簡単に説明をしました。 「ウェクスラー式」知能テストの特徴は?【未知会ログ】 現行の第4版のWAISでは、総スコアとしての「知能指数(IQ)」の他に、4つの指標を算出します。 ・言語理解:Verbal Comprehension ・知覚推理:Perceptual Reasonin […]
「知能」のほとんどは、物質としては「脳」に由来します。 このため、この連載でも「脳」の話題は今後扱っていくことになります。 今回概観するのは、脳の「4葉」の働きです。 これは脳の構造と機能において最も基本的な知識です。 事前の予習として、こちらの記事で脳の全体像を大雑把に把握しておくと理解が捗るかと思います。 今回は内側面や辺縁系は扱わないので、外から見た図だけで十分で […]
今回はSternbergの「三頭理論 triarchic theory」について。 この理論は彼の「Successful intelligence」というコンセプトに基づいているので、今回はこの2つをまとめて紹介します。 前回紹介したGardnerの「多重知能理論」と同様、この理論も現状の王道である「知能テストで測られる知能」へのアンチテーゼとしての側面を持っています。 […]
「全ての『知能』は正相関する」 この事実から「一般知能因子 g」なる概念が提唱されました。(前々回の記事) しかし「一般因子と特殊因子で全てを説明する」というのはとても大雑把なモデルでした。 今回紹介するのは、「g」の概念を踏まえつつ発展させた2つの知能モデルです。 「CHC理論」と「g-VPRモデル」についてお話しましょう。 流動性と結晶性 先に紹介するのは、「Cat […]
「知能について科学的に考えるためにはどんな学問を基礎にすればよいのか」というのはチョット答えにくい問題です。 大学の学部・学科を眺めてみても、「知能学科」なんてのはありません。 「知能を研究する」ためのアプローチは複数存在します。 Earl Hunt氏は著書『Human Intelligence』の中で、知能へのアプローチを3つの異なるレベルに分けました。 1.Psychometri […]
前々回の記事の冒頭で、「広義の知能テスト」について触れました。 しかし何と言っても現在世界でスタンダードになっている知能テストは「ウェクスラー式知能検査(WISC, WAIS)」です。 今回は、他の様々な「知能テストintelligence test」と対比しつつ、WAISの立ち位置を確認してみたいと思います。 尚、WISCは現在米国で第5版(WISC-V)が発売されていますが、日本 […]
WAISのIQ(知能指数)について呟くと、こういうリアクションがよくあります。 曰く 「IQって年齢で割って出すものだよね?」 曰く 「過去最高の人は200以上あったらしいぞ」 これはWAISで採用されている「deviation IQ(分散IQ)」と、古典的な「ratio IQ(比率IQ)」とを混同している典型例です。 簡単に言えば上記への返答は「誤解です」のほぼ一言です。 &nbs […]
知能テストのスコアに何が反映されているか、ここまでの記事で整理してきました。 今回はこれらの内容を踏まえつつ、「知能とは何か」そして「知能テストのスコアはその中でどう位置づけられるべきか」についてまとめます。 ※以下では「知能テスト」とは、広義に「短時間の机上テストで知的能力を定量化するもの」全般を指しています。 ただし「知能指数(IQ)」と言った場合には、BinetやWechsle […]
こんにちは。お久しぶりです。 情報化して久しい我々の社会ですが、たまに「ネットで調べればたいていのことはわかる」みたいな言葉を聞きます。 いつかも某小学生Youtuberが「漢字はググればいい」と発言したとか。別にその子に思うところがあるわけではないですが……。 世の中必ずしも「ググればわかる」ことばかりではなく、ジャンルによってはググっても情報が無かったり、あるいは逆に嘘情報が出てきたりします。 […]
前回の記事では知能テストの誕生の歴史を紹介しました。 『知能テスト』が出現したことで、人類は『知能』を日常生活的な『賢さ』から切り離して考えられるようになりました。 ……本当にそうでしょうか? 「環境の影響を取り除いた『純粋な知能』」というものは本当に計測可能なのか。 これが今回のテーマです。 「知能」の実体と虚構 「知能」は「身長」や「体重」のような物理的性質ではありません。 では […]