2021年10月

「よく読むこと」の限界と、「人は一人では賢くなれない」という話【新書読書】

西林 克彦 わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 光文社新書 2005/9/20   「質より量」の読書をしてるなーと思い始めた頃に読む本。 数々の例題を通して「いい加減に読んでいる」ことを突きつけてくれる良書です。   本書の大筋の主張はシンプルで、 ・思い込みで読むな ・部分をちゃんと読め ・部分と部分の整合性に気をつけろ ・「まだ自分の読みは不十分」と常に疑え といったところです。 主張は普通なんですが、これを読者に芯から納得させる筋立てが本当に上手い。 一つ一つ […]

「美術の蘊蓄は小難しくて良く分からん!」という人にこそ読んでほしい入門書【新書読書】

池上 英洋 西洋美術史入門 ちくまプリマー新書 2012/12/5   結構前から積んでた本なんですが、最近ようやく読みました。 あまりの面白さから一気に通読し、そして後悔しました。 「アノ本やソノ本に手を付ける前に、この本を一番最初に読めばよかった!」と。   本書の「分かりやすさ」は美術史本の中でもピカイチです。 あまり話題や情報を散らかさず、一つの読み物として読める構成になっているからでしょう。 大学1年生向け講義をベースにしているということですが、気楽なトークを聞いて […]

推理小説のように「麻酔を嗅がせて一瞬で気絶させる」ことは可能ですか?【新書読書】

諏訪 邦夫 麻酔の科学 手術を支える力持ち ブルーバックス, 2010/6/22     突然ですが、「麻酔科医」と呼ばれる医師のことはご存知でしょうか。 近年はマンガ等にもなっているので、昔より知名度は上がっているかもしれません。 心臓には「心臓の医師」、脳には「脳の医師」がいるように、麻酔には「麻酔の医師」がいるのです。「特定の臓器を専門としない」という意味では珍しい診療科の一つではあります。 医療の外の世界では「麻酔」という言葉をあたかも「一つの作用を持った一つの薬」で […]

「貧困」と「性風俗」と「知的障害」の密接な関係【新書読書】

坂爪 真吾 性風俗のいびつな現場 ちくま新書, 2016/1/7   「性産業のことあんまり知らんなー」と前々から思ってたので、性風俗についての教養が欲しいなと思って何冊か購入しました。 性風俗の話って、何でみんな「まぁこのくらい常識でしょ」みたいなツラして語るのに、利用有無の話になると「いや俺は行ってないけど」って言うんでしょうね。 「体験してないけど知っている」ということは、みんな実は読書家なのでしょうか。   本書は性産業に関わる色々な立場の人々への取材をまとめたルポ集 […]

ハロウィンも近いから誤解されがちな『フランケンシュタイン』について語らせてほしい【新書読書】

廣野 由美子 批評理論入門 『フランケンシュタイン』解剖講義 中公新書, 2005/3/1   8月頃にある方と『フランケンシュタイン』の話をしてから自分の中でフランケンシュタインが再燃してまして。 『フランケンシュタイン』マリー・ウォルストンクラフト・シェリー 原作を読んだり関連書籍を読み散らかしたりしていました。   キャラクターとしての「フランケンシュタインの怪物」は、すっかり「ホラー」の文脈に位置付けられていますが、原作を読むと実は「人間が人間を造ること」「科学者がそ […]