2021年7月

「言語を扱える人はその言語を教えられる」という誤解について【新書読書】

原沢 伊都夫 日本人のための日本語文法入門 講談社現代新書, 2012/9/14     英語教育の世界で「ネイティブ信仰」みたいなのってあるじゃないですか。 言語学や教育学について何の素養もない外国人が「ネイティブ」だというだけで英語のレッスンをしていたり。 「この文法はネイティブに聞いたらこう言ってた」みたいな言い分がまことしやかに権威性をまとっていたり。 でも実際のところ、「ネイティブである」ということと「文法的規則について人に説明できる」ということの間には、とてもとて […]

「自分の手で数式と格闘した手触り」でしか納得できない領域がある【新書読書】

竹内 淳 高校数学でわかるシュレディンガー方程式 量子力学を学びたい人、ほんとうに理解したい人へ ブルーバックス, 2005/3/17   「みんなが名前くらいは知っているけど、実物にちゃんと中身を見た人は少ない」 「大多数の人々は『何となく難しそう』程度のイメージしか持っていない」 そういうものって、世の中に結構あります。 「アインシュタインの相対性理論」や「ゲーデルの不完全性定理」と並んで、 いわゆる「シュレディンガー方程式」も、その類ではないかと思います。   そこをち […]

怪異に遭ったら、お祓いよりまず病院へ【新書読書】

オリヴァー・サックス (著), 大田直子 (翻訳) 見てしまう人びと 幻覚の脳科学 ハヤカワ・ノンフィクション文庫, 2018/3/20   今回は新書じゃなくて文庫です。 まぁ時々こういうことがあってもいいでしょう。   SNSでちょっとしたオカルトなお話がありました。 当人が本当に「そう」なのかは分からないので直接引用はしませんが、簡単に言うと「十代の娘が動物の霊に憑かれたようになった」という話でした。 これに対して、「脳の病気の可能性があるから一度病院へ行った方がいい」 […]

思想書を独りで読む時に、「補助輪」があると助かる【新書読書】

中山 元 フーコー入門 ちくま新書, 1996/6/1     今回は「素人として哲学書・思想書を読むこと」についてのお話。   「○○入門」的なダイジェスト版の解説書について、哲学を専門とする方々は各々一家言お持ちかと思います。 「原著を原語で読んで自分で解釈しなきゃ話にならん」という方もいらっしゃるようです。   しかし、「2チームが互いに9人以上揃えてプレイするのが野球だ! それ以外のニセモノは認めん!」などと言い出したら、バッティングセンターも大衆 […]

「〇〇をすると脳が活性化する」って結局どういうことなの?【新書読書】

小泉 英明  脳の科学史 フロイトから脳地図、MRIへ 角川SSC新書, 2011/3/10   一般向けの「脳科学の本」では、よく「〇〇をやると脳のここが活性化します」という言い回しが度々見られます。 しかし、この「脳が活性化する」という記述が何を意味するのかが、その本にはきちんと書いてあるでしょうか? 「脳科学でこんなことが分かった」という「結論」の部分は頻繁に喧伝されますが、その研究が、「実際にどんな装置で」「何を測ることで」行われているのか、という話はなかなか表に出て来ません。 […]