【書評】小説家の作り方

9 文学

【書評】小説家の作り方

 

小説家の作り方

野崎まど,

メディアワークス文庫, 2011/3/25

 

 

 

BACKGROUND ――対象

 近年色々なレーベルから出版している野崎まど氏の、比較的初期の作品です。

 昨年はアニメの『正解するカド』の脚本で非常に物議を醸し、一部で有名となりましたね。

 

 本作品の主人公は駆け出し作家。人物や舞台設定は著者の野崎まど氏自身を思わせるようなプロフィールで設定されています。

 物語の始まりは、ある女性から主人公への「小説の書き方」指導の依頼。その女性は、読書経験豊富で、素晴らしい発想があるけれど、文章を書くことに関しては全くの素人らしい。

 主人公が彼女に文章を書く手ほどきを行うことになり、物語が進んでいきます。

 

METHODS ――あらすじ

 「小説の書き方を教えていただけませんでしょうか。私は、この世で一番面白い小説のアイデアを閃いてしまったのです―」。駆け出しの作家・物実のもとに初めて来たファンレター。それは小説執筆指南の依頼だった。出向いた喫茶店にいたのは、世間知らずでどこかズレている女性・紫。先のファンレター以外全く文章を書いたことがないという紫に、物実は「小説の書き方」を指導していくが―。野崎まどが放つ渾身のミステリー・ノベル改め「ノベル・ミステリー」登場。

 

RESULTS ――所感

 今まで読んだ小説の中で、私のトップ5に入るお気に入り作品です。

 

 一見「淡泊で軽快な語りだな」と思わせるような比較的情報量の少ない文体ですが、本当に圧倒されるのは後半から。

 この作品、実は全くと言っていいほど内容に無駄がないのです。

 積もり積もっていくわずかな違和感が、ある点で像を結び、そこから急降下するように結末へと転がり落ちていく。そんな感覚。

 

 後ろの章を先に読むことなく、巻頭から順番に一歩ずつ読み進めてほしいと思います。

 そして読み終わってから「やられたーっ」と頭を抱えて下さい。そうしたら、もう一度頭から読み直しましょう。もっとも、言わなくてもそうしたくなること請け合いですが。

 

 文章は非常に読みやすく、すらすらと最後まで読みきれるはず。

 ミステリーやSFや私小説として硬派な正統派というわけでも決してないので、ラノベと言えばラノベです。が、いわゆる「ラノベ臭」みたいなものは薄いので、比較的人を選ばず快適に読める文体だと思います。

 

 これをミステリーと称するか、SFと考えるかは人によると思いますが、読み終わってからもう一度読み返したくなるような見事な作品である事は保証します。

 ありきたりなラノベやありきたりなミステリーに飽きた方。軽い気持ちで手を出してみてはいかがでしょう

 

 

CONCLUSIONS ――結語

 「筆者のアイディアがそのまま純粋な形で小説になっている」と思えるほど、無駄なく、さりげなく、非常に緻密に構成された美しい作品だと思います。

 知的好奇心の旺盛な方に、是非オススメしたい小説です。

 

 こんな人にオススメ

 ★ミステリーが好き
 ★ぶっ飛んだ能力者のいる物語が好き
 ★伏線解消の美しい作品が読みたい

 

小説家の作り方

野崎まど,

メディアワークス文庫, 2011/3/25

 

 

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木村勝哉

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