筆と筆ペンの違い

筆と筆ペンの違い

大人になってみると筆を握る機会というのはほぼなくなります。
習字セットを学校に持って行ったり、授業の後筆洗ったりで「書写の授業ってめんどくさい」と思っていても、たまーに書いてみたくなったりするものです。

(なお、筆者は書道が趣味なのでわりと筆を握ります)

新年だ!れっつ書き初め!ということで、今回は私の書き初めにお付き合い頂きながら、筆と筆ペンの違いについてまとめます。

筆ペン

筆ペンの毛の多くはナイロンが使われています。
ナイロン毛の特徴として、コシが強く、毛先の復帰能力が高いです。
勝手に毛先がまとまってくれるので筆を使い慣れていない人でも扱いやすいと言えます。

筆文字サインペン

基本的にはサインペンなのですが、ペン先に弾力があり、筆風の文字が書ける優れものです。
あくまでも筆「風」なので、本格的な筆の代用にはなりませんが実用的です。
筆圧によって太さが変わりつつ普通のサインペンのように扱えるので筆で書く文字に自信のない方はこちらがおすすめ。

一般的な筆に使われているのは羊、イタチ、タヌキ、馬などの動物の毛です。
筆の品質は価格にほぼ比例します。弘法は筆を選ばずという諺がありますが、安い筆には安い筆の良さがありますが、品質の高い筆で表現できることが安い筆で表現できるかと聞かれると頷き難いところです。
自分が扱いやすい筆を使うのが良いでしょう。熊野筆なら大外れもないのでおすすめです。
竹筆という軸から毛まで全部竹でできた筆もありますが、一般的ではないでしょう。
筆に関して詳細に語るのはまたの機会に。

実際に書いてみた

4歳から習字教室に通い、高校書道部の後ブランク挟みまくりな現在30歳の書いた文字なので、上手い下手は一旦おいておきましょう。左から、小筆、中字筆ペン、極細筆ペンです。

(始筆は線の書き始め、送筆は線を引いてる最中、終筆は線を引き終わった後の止めを指します。)

小筆VS中字筆ペン

中字筆ペンの文字は小筆に比べ、始筆、終筆がビシッとしません。

筆ペンはコシが強すぎて始筆、終筆の部分を「作って」あげる必要があるなぁ、という感想。
ハネの部分も不自然に形にはなりませんでしたが、コシが強すぎてハネ方を考えないと毛先じゃなくて腹の部分で擦り上げることになりそう。
筆では中々体験することのできない、「コシがありすぎて書きにくい」って感覚。新鮮。
筆の場合はコシがなさすぎて扱いに技術が必要な物が少なくありません。

小筆VS極細筆ペン

細い方がコントロールしやすいかと思いきや全くそんなことはなく、一番気を使うのが極細筆ペンでした。
中字で書いた際に始筆、終筆を「作る」事が必要だと感じたため、作るように意識をして書いてみました。細すぎるため、筆を斜めの状態で滑らせて線の太さを調節するのが難しいです。送筆の難易度も上がっていて、常に毛先が完全に後からついてくるように書かないと綺麗な線は書けない気がします。
中字筆ペンでも毛先だけを使えば十分細かい文字に対応できるので極細はいらないんじゃないかなぁ・・・。
米粒に文字が書けそうな細さですね。

こちらが2018年の書き初めです。大体毎年最初にこれを書きます。

【総評】

筆ペンと筆は違うか?と聞かれたら、私は「違う」と答えると思います。
筆も様々な要素によって違いがあります。職人さんの手作りでも、機械で生産しても、完全に同じ筆はありません。
そういう意味では筆と筆ペンは大きめのブレがあるだけだ、とも言えます。

当たり前ですが使い慣れた筆が一番書きやすかったです。
人によるとは思うのですが、そこそこの文字数を書くなら素直に筆を準備した方が神経使わなくて良いなぁ、と。

筆ペンはコシが強くて毛先がまとまるので扱いやすいのは確かです。上手に書こうとすると小筆ナイロン毛に合った書き方が必要になってきます。
筆でも毛の種類や硬さなどによって僅かに書き方を変えますし、その延長線だと思えば十分対応できる範囲ではないかと。多少の練習は必要だろうなぁと思います。

書道では、半切や全紙での作品作りに慣れてくると名前を小筆で書くことも少なくなりますし、下手すると半紙に書く名前ですら小筆を握りません。
私自身は半紙の仮名作品で使う程度です。
久しぶりに小筆を持つと記憶より上手く扱えなくて戸惑います。
手軽に使える筆ペン、一本くらいは常備しておいても良いのではないでしょうか。中字を。

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きいた

事業として色々やってみた結果何かと便利な器用貧乏。 デスクワーカーなのに筋肉がすべてを解決してくれると信じてやまない肉体派。 趣味はDTM、コーヒー、書道、野球、修理。 本ブログでは絶賛紺屋の白袴状態。

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