「自分の手で数式と格闘した手触り」でしか納得できない領域がある【新書読書】

「自分の手で数式と格闘した手触り」でしか納得できない領域がある【新書読書】

竹内 淳

高校数学でわかるシュレディンガー方程式
量子力学を学びたい人、ほんとうに理解したい人へ

ブルーバックス, 2005/3/17

 

「みんなが名前くらいは知っているけど、実物にちゃんと中身を見た人は少ない」
「大多数の人々は『何となく難しそう』程度のイメージしか持っていない」

そういうものって、世の中に結構あります。

「アインシュタインの相対性理論」や「ゲーデルの不完全性定理」と並んで、
いわゆる「シュレディンガー方程式」も、その類ではないかと思います。

 

そこをちょっと背伸びして、「シュレディンガー方程式、勉強したよ」って言ってみませんか?

……というコンセプトで高校生向けに書かれたのが本書。

 

「量子力学」と銘打って「わかりやすい」とか謳っている本の中には、数式的なアプローチや物理学的な説明を諦めて「量子のようなミクロの世界ではこんな不思議なことが起こってるんだよ」という定性的な話をいくつか列挙して終わってしまう本が少なくありません。

かといって、ガチの物理系・数学系の大学生が使う量子力学のテキストはちょっと敷居が高い。

高校数学レベルだけど、数式までちゃんと扱うという本は、ありそうでなかったと思います。

 

「ちゃんと扱う」なんて言うと敷居が高いですが、
「何だか分からんけど『シュレディンガー方程式を理解した』って言えるとカッコイイ!」
くらいの動機で手にとっても全然問題無いと思います。

みんな好きでしょ、そういうの。

「何となく凄そうだけど理解を諦めていたもの」「はじっこだけ齧って少し分かった」になるだけでも十分に意義はありますし、「よくわかんねーってことだけがわかった……」という結果になったとしても、勉強した価値はあると私は思います。

 

これを起点にして、更に大学の量子物理学のテキストに進んでみるも良し。

「何となくだけどシュレディンガー方程式の数式が納得できたぞ!」で一旦落ち着くも良し。

 

★NEXT STEP

馬場 敬之

キャンパス・ゼミ 量子力学

マセマ出版社, 2021/4/19

 

ブルーバックスから一歩進んで「大学生の使うテキストで勉強したい」となったらこのあたり。

シュレディンガーの波動方程式を使った例題も何個か解説されているので、「シュレディンガー方程式が何者なのかは少し分かったけど、これって何に使うの?」という感想で終わってしまった人は、本書で例題を追ってみてほしいです。

このシリーズは式変形も解説も非常に丁寧で飛躍が無いので、独学者向きだと思います。

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狐太郎

読んでは書くの繰り返し。 学んでは習うの繰り返し。

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