珈琲の世界史
講談社現代新書, 2017/10/18
「食文化の歴史本」って好きなんです。
一つには、「歴史という観点から食を捉えることが出来る」から。
もう一つは、「食という断面で歴史を捉え直すことが出来る」から。
今回はそんな本を一冊紹介します。
コーヒーは紅茶と並んで世界中で供されている飲料の一つです。
そして紅茶と同様に、世界を背景にしたストーリーを持っています。
千年以上前のイスラームから近代のヨーロッパ、そして日本へ。
この流れを余すこと無く語り尽くしているのが本書です。
前半は「いかにも世界史」といった感じの話なのですが、後半は現代にまで至るコーヒー産地やコーヒー文化の話にシームレスに接続されているのも大きな特徴です。
逆に言えば、本書を通じて読めば、「現代のコーヒー事情を理解するには『コーヒーの世界史』を知ることが如何に重要か」を十分に実感することが出来るのではないかと思います。
というわけで、本書は「世界史の好きな人がコーヒーにハマるきっかけ」としても最適であり、同時に「コーヒーのオタクが歴史に興味を持つきっかけ」としてもオススメできます。
ただ、情報量に手加減が無いので、ある程度の読書体力がないと、途中から話についていけなくなるかもしれません。(何と言っても巻末の文献リストがかなりの量です……)
「俺はコーヒーが好きなだけなのに、何故こんなに難しい話を……」と苦しくなってきたら、難しいところは読み飛ばして、興味のあるところだけ「つまみ食い」しても良いと思います。
経験的に、食文化の本はそういう読み方でも比較的読みやすい傾向にあると思います。
これも「ワンテーマ世界史モノ」の一つのメリット、と言うべきでしょう。
★NEXT STEP
コーヒーの科学
「おいしさ」はどこで生まれるのか
ブルーバックス, 2016/2/19
言わずと知れた旦部氏の前著。
『珈琲の世界史』は元々この『コーヒーの科学』の一章でした。
旦部氏は『~科学』を「理系向け」、『~世界史』を「文系の皆さんに向けた」と記していますが、コーヒー好きであればどちらの本も楽しめるかと思います。
狐太郎
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