「動物園」は「生きている博物館」でもある【新書読書】

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加藤 由子

みんなが知りたい動物園の疑問50

サイエンス・アイ新書, 2007/10/16

 

 

「動物園の面白さ、楽しみ方」を布教したくて、今回はこの本を選びました。

 

「動物園」を表す「Zoo」は、略さず書くと「zoological garden」

「Zoology」というのは「動物」のことです。

博物館が博物学を学べる場であり、植物園が植物学を学べる場であるのと同様に、
「動物園」とは、原義から言えば「動物学を学べる場所」なわけですね。

しかし良くも悪くも動物園は「子どもの人気スポット」として定着していることもあり、博物館や美術館のような感覚で楽しむ大人はあまり見かないというのが現状……。

そんな風潮に一石を投じるのが本書です。

 

 
 私にとって動物園は昔から「おとなだからおもしろい」場所なのである。
 

知識が身に付くことで動物の見方が変わる。そして動物園が知的な娯楽になる。

そんな本です。

 

本書では、動物と動物園に関する話題を、50個の個別のトピックにして列挙しています。

一つのトピックが見開き1ページになっていて、右側ページは写真やイラスト。

サイエンス・アイ新書は本書に限らず概ねこの形式ですね。サクサク読み進められます。

数式系だと冗長に感じることも多いフォーマットですが、動物に関してはカラー写真やイラストはいくらあっても嬉しいので、本書はレーベルの仕様と本のコンセプトが上手く噛み合っています。

動物の話題を多く盛り込むには、うってつけの見せ方と言えましょう。

 

内容の構成は、第一章が動物園の話、第二章が動物園の動物の話、第三章が動物の話。

ただ、この章立てに関しては逆順で並べた方が良いんじゃないかな……と思ってしまいました。

どこから読んでも良いようになっているので、「動物園のことよりも動物の方が興味がある」という方(これが一般的な感覚だと思います)は、とりあえず第三章→第二章→第一章の順で読んでみてはいかがでしょうか。

本を一冊通して読み切ると、「動物」だけでなく、動物たちを管理している「動物園」という世界の面白さも分かってきます。

 

形式がトピックごとの単発なだけあって、あまり網羅的でも系統的でもない構成ですが、だからこそ逆に筆者が面白いと思った動物の話だけを「つまみ食い」的に読めるのが利点となっています。

学問として系統的に勉強するのとは対極的な本書ですが、読みやさと視覚情報の充実ぶりは素晴らしく、「興味を持つための本」としては太鼓判が捺せる内容です。

 

「知識を持った上で『本物』に接する」という楽しみ方は、知識が増えれば増えるほどに味が出る楽しみ方であり、現に美術館や博物館はそのような娯楽として認知されています。

「動物園」もまた「大人の知的娯楽」として成立しうる、ということを本書は教えてくれます。

 

 

★NEXT STEP

ジョエル・サートレイ(著), 関谷冬華 (翻訳)

PHOTO ARK 動物の箱舟

日経ナショナルジオグラフィック社, 2017/8/12

 

多種多様な動物たちの写真を「これでもか!」というほどフルカラーで詰め込んだ写真集。

どの写真も非常に美しく、ナショジオの本気が見えます。

Kindle版と紙版でほぼ値段は変わらないので、個人的には見やすい紙版を推します。

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木村勝哉

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