フランス語が「なんか難しそう」から「何となく分かる」になる裏道ルート【新書読書】

フランス語が「なんか難しそう」から「何となく分かる」になる裏道ルート【新書読書】

中条 省平

世界一簡単なフランス語の本
すぐに読める、読めれば話せる、話せば解る!

幻冬舎新書, 2018/3/29

 

目次
第1章 フランス語は、読めれば、できる
 綴りと発音の関係
第2章 男性・女性、危険な関係
 名詞、冠詞、形容詞、数の表現
第3章 セシボン、ケスクセ、コマンタレブー
 フランス語の文章に触れる
第4章 動詞の90%をマスターする
 動詞の活用、否定、命令など
第5章 ジュテームの手ほどき
 人称代名詞について
第6章 カフェオレとサントワマミー
 前置詞、所有形容詞など
第7章 きょうママンが死んだ
 動詞の過去と未来

 

フランス語。

多くの大学で「苦労する第二外国語」として名が挙がる言語です。

「なんだか活用がすごく多いらしい」とか、「発音とスペルが全然噛み合ってないじゃんまず読めねぇよ」とか……

そういう理由で敬遠されてるのは私にも何となく分かります。

私も「何となく面倒くさそう」という理由で学生の頃には避けてました。

 

でもそこそこ生きてるとよく出会うんですよ、フランス語

 

一つは学問の世界で。

英語が牛耳るまで学問の世界でかなりの存在感を持っていましたから、古い文献を探しているとフランス語文献に時々出会います。

仏語の哲学書を原文で通読……というレベルになると腰を据えてガッツリ何年か頑張らなきゃいけませんが、せめて「よく引用される決めフレーズ的な一文がどういう構文なのか」とかはちょっと知っておきたくないですか。

あと、フランス人の人名がカタカナ付きでないと読めないのもちょっと悔しい

 

もう一つは生活空間での出会い。

ファッションやお菓子の世界で顕著ですが、フランス語を取り入れたブランド名や商品名は非常に多い。

フランス語のネーミングがさらっと読めたらかっこいいし、意味が分かるようになると面白いんじゃないかな、と前々から思っていました。

 

最後のおまけとして、フランス語は英語にもよく取り入れられているので、フランス語を学ぶと英語の解像度も上がります

日本語で例えるならば、漢語と和語が区別できるようになる、みたいな感じでしょうか。

 

そんなわけで、「難しいと言われてるけど、分かるようになると楽しいんだろうなー」と思いながら指を咥えていた頃に出会ったのがこの本です。

「わかりやすさ」と「即効性」の二点で、この本は素晴らしいです。

新書サイズで、この読みやすさで、この価格でありながら、一冊読み切る頃には「あぁ、フランス語ね。何となく分かるよ。何となくだけどね」レベルになれちゃいます。

「世界一簡単」の自称はダテじゃない。

 

本書の一つの特徴は、「このスペルをどう発音するか」に紙面を割いていること。

講義だとさらっと最初の1,2コマで流されちゃうとこだけど、「何となく分かる」のステップを上がるためには地味に重要です。

フランス語の人名や商品名を見て「読める!読めるぞ!」ってテンションが上がると、「フランス語勉強してよかった!フランス語もっと分かるようになりたい!」って感じますからね。

Bourgogne→ブルゴーニュ
Grand prix→グランプリ
Mont Saint-Michel→モン・サン・ミシェル
Beaujolais nouveau→ボジョレ・ヌヴォ

こういうのがサラッと読める自分に気付くと、一気にフランス語への親近感が増してきます

 

一方で、文法に関しては非常に早足で駆け抜けます。

「文法性」や「時制」や「格変化」といった、英語の感覚が通用しにくい文法要素に絞って「こういうものがあるよ」といくつか紹介している感じです。

それでも「あー、ジュテームって『je t’aime』で、『オレは・オマエが・好き』なのね」とかは分かるようになります。

フランス語と言うと活用の地獄が有名ですが、アレを全部ガッツリ丸暗記しなくても「英語の対訳を見ながら、どの文とどの文が対応しているかくらいは分かる」ようにはなるわけで……「学校でテストを受けるわけじゃないんだから、いきなり一番最初に一番つまらんことをやらなくても良いんだな」と本書を読んで今更ながら気付かされました。

 

という感じで、ライト層が入門するには非常に良い本だと思うのですが、如何せん「学校の外国語科目で点を取るための入門書」としてはホトンド機能しないかと思います。

残念ながら学校の授業では発音だけでこんなに時間をかけてくれませんし、活用形や格変化も正確に覚えなければ点をくれませんので……

ある意味でこの本は「学校で覚えるような種々の煩わしい困難を避けつつ『何となく読める』レベルに最短で達するチート本」とも言えるかも知れません。

 

 

東郷 雄二

ニューエクスプレスプラス フランス語

白水社

2018/7/7

 

語学勢にはお馴染みの「ニューエク」

海外旅行とか映画みたいな「音声言語としての実用的な用途」だったら、次のステップで選ぶべき本はまず間違いなくこれ。

これを毎日丹念に音読したら旅行会話くらいはチャレンジできるようになります。

文法解説は一応入ってるけどそんなに詳しくないので、「対訳付きスキット音声集」と割り切るくらいが吉。

 

 

久松 健一

英語がわかればフランス語はできる!

駿河台出版社

1999/5/1

 

タイトルに騙されないで下さい。英語ができてもすぐにフランス語はできません。

……とはいえ、日本語よりは英語の方がまだフランス語に近いのも事実です。

英語がある程度の習熟度に達している方なら、文法はこの本で英語と対比しながら学ぶ方が理解しやすいのではないかと思います。

『世界一簡単』→『ニューエクプラス』→『英語がわかれば』の順で読んだら仏検3級の問題も大体解けて受かったので、ここまで押さえるとほぼ「大学で第二外国語として2年程学習した人」のレベルに並ぶようです。

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狐太郎

読んでは書くの繰り返し。 学んでは習うの繰り返し。

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