英語の勉強を疎かにしてきた人ほど「ネイティブ信仰」に陥りやすいよね【新書読書】

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デイビッド・セイン(著), 森田 修(著)

やり直し教養講座
英文法、ネイティブが教えるとこうなります

NHK出版新書, 2011/4/7

 

Kindle本を買うようになってから、「ビジネス書」というジャンルがどうしても視界に入ってきてしまいまして。

Kindleセールを眺めるようになって気付いたんですが、面白いことに「ビジネス書」の中にも「英語の学び直し」とか「数学の学び直し」みたいな企画の本が結構あるんですね。

「学び直したいのならその『やり直したい』レベルの参考書を買って勉強すればいいじゃないの」と思うんですが、何故か「学習参考書(学参)」のコーナーとは独立して「ビジネス書」とか「ビジネスマン向け書籍」の枠の中で「中高科目の教科書の焼き直し」みたいなものが並んでいるんですね。

 

そういう「大人向けの英語教材」を見ると、「ネイティブ信仰」の根強さに気付かされます。

学参でもネイティブ信仰的な風潮が無いわけではありませんが、やはりビジネスマン向け英語教材で特に顕著だと思います。

 

個人的な見解ですが、「ネイティブだろうがネイティブじゃなかろうが分かるレベルの基礎知識」を一通り固めて自然に使いこなせるようにするだけで、ノンネイティブとしては十分に一目置かれるレベルにはなると思います。

そして、そのレベルを目指す人にとって最もコスパの高い教材は、ほぼ学参コーナーに集中していると私は感じます。

「ノンネイティブには指摘できない、ネイティブだけが知っている英語の使い方」などというものがあるとして、それは十中八九「重箱の隅」か「ノンネイティブは使わない方が良いようなデリケートな言い回し」ではないでしょうか。

ノンネイティブが最初に注力すべきは「自分の意図が間違って伝わらないようにすること」であり、「ネイティブのように」を目指すのはむしろ遠回りである場合が多いと思います。

 

また、「日本語の文法について、英語でアメリカ人に説明してください」と言われて、「私なら現地のベテラン日本語教師より上手に教えられる」という自信のある人はどのくらいいるでしょう。

そう考えたら、「ネイティブ」を謳うことが「ノンネイティブ向けの教材として優れている」ことの売り文句として使われることは極めて不思議であります。

 

散々話が迂回しましたが、改めて「ネイティブを謳う英語本」の話に戻ります。

たとえネイティブが書こうとも、学習者にとって優先順位の高いものを提供しようとするなら、その教材は既存の学参の王道とかなりの部分で重なることになると思います。

そこで「ネイティブの説明の方が良いかどうか」については、「そのネイティブの能力による」としか言いようがない。

本書もそれほど斬新なことは書かれていないですが、それはむしろ「標準的」な英語から外れたことを言っていないからだと思います。

「ネイティブにしか言えないこと」にこだわると、些細なことばかり書いたり、逆張りして変な「新常識」を作ったりし始めますから……

本書はタイトルからネイティブ信仰の臭いはするものの、「文法なんかより喋れることの方が大事! ネイティブは文法なんか習わない!」とか意味分かんないこと言ったりしないので、そういう意味では誠実な本だと思います

 

というわけなので、「ネイティブの言語感覚」を謳いつつも、本書では結果的に多くのネタが「学参や学校で習う英文法」とカブってます

「byとuntilの違い」や「look forward toの後ろに付く形」なんかはむしろ、受験英語で「ベタ問」と言っても良い部類の問題でしょう。

筆者が「まえがき」でこの本を「スパイス」になぞらえているように、「メインの文法知識にそっと添えるオマケの話」として使えるネタは多いので、英語を教えてる人なら一読すると参考になるかもしれません。(知ってることばっかりかもしれないけど)

「toとforのニュアンスの違い」や「had betterの持つニュアンス」あたりは私も勉強になりました。

そういうビミョーなニュアンスをノンネイティブがわざわざ網羅する必要があるかどうかはともかくとして、英語のドラマや小説を楽しむ際に「汲み取れるニュアンス」の幅は広がったかなという気がします。

 

うーん、でもやっぱ大人が「英語の学び直し」をしたいなら、「学び直し」みたいに銘打ってる割高な教材よりも普通に受験生向け参考書を地道にやった方が良いと思うのは変わらないな……。

それか”英語を”勉強するのは諦めて、”英語で”実際のテクストやマテリアルに当たりまくって慣れていく方が現実的な気がする。その作戦ならむしろ英語教材コーナーじゃなくてアメリカのAmazonの専門書コーナーに行くべき。

 

★NEXT STEP

綿貫 陽, 須貝 猛敏, 宮川 幸久, 高松 尚弘

ロイヤル英文法

旺文社

2000/11/11

 

何でも良いと思うんだけど、定評のある文法書を一つ備えて繰り返し使うのが文法を定着させる一番の近道だと思います。

気になることがあったら、その度にその本で調べ、場合によってはメモや付箋を入れる。

そうやって一つの文法書を使い倒していくと、「あの文法はこの辺に書いてあった」という感じで、ホトンドの文法項目が「文法書の中の位置」と対応付けられる形でアタマの中に体系化されます

ちなみに私は勉強する場所が一定しないのでKindleで持ってますが、持ち運びの問題が無いのなら紙版で買った方が良いかも知れません。「何が書いてあったか」の記憶しやすさは電子でも紙でも変わりませんが、「どこに書いてあったか」は紙の本を使った方が記憶に残りやすいという話がありますので。

 

里中 哲彦

英文法の魅力
日本人の知っておきたい105のコツ

中公新書, 2012/5/24

 

これなんかはむしろ「学校で習う受験英語的な英文法」が一通りアタマに入っている人が読むと面白いと思います。

一部には「仮定法過去と仮定法過去完了の使い分け」みたいに受験英語のオーソドックスなネタも混じってますが、基本的には「学校の英文法で網羅されにくいTips」がアラカルト的に紹介されています。

英語がそれなりのレベルに達している受験生や、受験が終わった大学生あたりは、パラパラ読むといくつかグッと来るネタがあるのではないかと。

私は「play the guitar」と「play guitar」の使い分けが盲点だったので目から鱗でした。どっちも実際の用例に結構触れてたようなのですが、言われないとなかなか気付けないもんですね。

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木村勝哉

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