【書評】怪異を語る: 伝承と創作のあいだで

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喜多崎 親(編), 京極夏彦, 常光徹, 東雅夫, 太田晋:

怪異を語る: 伝承と創作のあいだで.

三元社, 2017/3/15

 

 

 

BACKGROUND ――対象

「怪異の語り方」をテーマとしたシンポジウムを書籍化したもの。

登壇者は、言わずと知れた京極夏彦氏をはじめ、喜多崎親氏、常光徹氏、東雅夫氏、太田晋氏と、伝承や民俗を専門とする錚々たる面子です。

各演者のテーマについては目次を参照のこと。

METHODS ――目次

まえがき 4
東 雅夫
 百物語の歴史・形式・手法・可能性について 9
太田 晋
 怪談/ミステリーの語りについて ――京極作品を中心に 28
常光 徹
 民俗学というメソッドからみた怪異の語られ方 50
喜多崎 親
 〈出る〉図像 ――絵画はいかに怪異を語るか 63
京極夏彦
 語り手の「視点」という問題 ――怪異と怪談の発生:能楽・民話・自然主義をめぐって94
質疑応答 111
日本「百物語」年表(成城大学版) 東雅夫編 139
あとがき 151

RESULTS ――所感

「百物語」「京極作品」「民俗学的分類」「幽霊画」「語り手の視点」と、多様なテーマを土台に、各演者の世界観が垣間見える内容で、興味深く読めました。

 

非専門家向けのシンポジウムであったこともあり、内容は一般の人にもとっつきやすく分かりやすい内容です。文量的にもサクッと読み切れます。

「内容が浅すぎる」と物足りない方もいるかも知れませんが、「ここから興味を持つ」という点では良いきっかけになる本かと思います。

多数の演者の講演がまとめられているのも、そういう点で長所と言えるでしょう。

 

「怪談」や「妖怪」の全般に興味があれば楽しめる内容かと思いますが、京極夏彦ファンにとっては更に楽しめるようになっています。

というのも、「京極作品を演題としたの演目」と「演者が京極夏彦である演目」があるため、『姑獲鳥の夏』『魍魎の匣』『狂骨の夢』あたりを読んでいるとよく納得できる話が出てきます。(もっとも、「本書を読んで興味が湧いたら京極夏彦作品を読んでみる」でも一向に構わないと思います)

 

個人的には京極夏彦氏の「視点」問題が特に興味深く読めました。

「能」という題材が出てきたときには「またよく分からない話が……」と思いましたが、最終的にそれが「現代の妖怪観」や「各種メディアでの怪奇の扱い方」に繋がってきているという話には膝を打ちました。

「視点」という遠大なテーマの下で、前の4人の演者の話が有機的に連結されているのも非常に良かったです。

CONCLUSION ――結語

「怪談」や「妖怪」といったものを様々な学術的観点から再解釈する面白さ。

読みやすく分かりやすいので、入門用の一冊としてもぴったりだと思います。

こんな人にオススメ

★妖怪・怪談に興味がある人

★創作物の「語り手」の問題に興味がある人

★京極夏彦作品のファン

 

喜多崎 親(編), 京極夏彦, 常光徹, 東雅夫, 太田晋:

怪異を語る: 伝承と創作のあいだで.

三元社, 2017/3/15

 

 

 

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木村勝哉

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