2019年

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IQの算出法は難しい?【未知会ログ】

WAISのIQ(知能指数)について呟くと、こういうリアクションがよくあります。 曰く 「IQって年齢で割って出すものだよね?」 曰く 「過去最高の人は200以上あったらしいぞ」   これはWAISで採用されている「deviation IQ(分散IQ)」と、古典的な「ratio IQ(比率IQ)」とを混同している典型例です。 簡単に言えば上記への返答は「誤解です」のほぼ一言です。 &nbs […]

知能を測ることに意味はあるのか【未知会ログ】

知能テストのスコアに何が反映されているか、ここまでの記事で整理してきました。 今回はこれらの内容を踏まえつつ、「知能とは何か」そして「知能テストのスコアはその中でどう位置づけられるべきか」についてまとめます。   ※以下では「知能テスト」とは、広義に「短時間の机上テストで知的能力を定量化するもの」全般を指しています。 ただし「知能指数(IQ)」と言った場合には、BinetやWechsle […]

古いアイルランド語を辞書で引く方法

こんにちは。お久しぶりです。 情報化して久しい我々の社会ですが、たまに「ネットで調べればたいていのことはわかる」みたいな言葉を聞きます。 いつかも某小学生Youtuberが「漢字はググればいい」と発言したとか。別にその子に思うところがあるわけではないですが……。 世の中必ずしも「ググればわかる」ことばかりではなく、ジャンルによってはググっても情報が無かったり、あるいは逆に嘘情報が出てきたりします。 […]

「純粋な知能」を測定することは可能か【未知会ログ】

前回の記事では知能テストの誕生の歴史を紹介しました。 『知能テスト』が出現したことで、人類は『知能』を日常生活的な『賢さ』から切り離して考えられるようになりました。   ……本当にそうでしょうか? 「環境の影響を取り除いた『純粋な知能』」というものは本当に計測可能なのか。 これが今回のテーマです。 「知能」の実体と虚構 「知能」は「身長」や「体重」のような物理的性質ではありません。 では […]

知能はどのように測られてきたか?【未知会ログ】

「Intelligence(知能, 知性)」とはどんなものでしょう。 人間の知的能力を純粋に測るという概念に慣らされた近代以降の私たちは、「知能」が単独で純粋な能力値だと考えがちです。 しかし、知能テストは様々な試行錯誤を経て今の形になっています。 シリーズ初回として、まずは知能テストの成立までの歴史を概観してみましょう。 「知能」の小史 古典的な直感は、「知能」を「あるかないか」でニ分したくなり […]

【募集終了】Web輪読会『未来のための知能研究会』

謝辞・重要なお知らせ 当勉強会は、2020年7月16日を以て第一期終了と致しました。 参加頂いた方、そして記事を読んで頂いた皆様に、この場を借りて感謝申し上げます。   当ブログでの「知能」に関する記事については、まだ数回分のネタが溜まっているので引き続き連載していく予定です。 近いうちに第二期として再始動する予定はありますが、現時点では会期は未定です。   再始動の際には改め […]

【学習】「脳の見取り図」を描いてみる

突然ですが、「脳の形」をご存知でしょうか。 私の記事でも脳の話を時々紹介していますが、その中に出てくる「脳の地名」は、「脳の全体図」が地図として把握出来ていないとなかなかイメージしにくいかと思います。 専門書を見ると詳しすぎるほど細かく載っていたりするんですが、一般書では機能に重点をおいた書籍が多く、「形だけを明確なイメージとして頭に入れたい」という人向けの明快な解説が意外と世に出ていないのが現状 […]

「漢字は表意文字」と教えるのは正しいのか【隙間リサーチ】

「漢字は表意文字である」 ――昔こう教わった人は多いでしょう。   しかし近年、「漢字は表語文字である」ともよく目にします。 インターネットではこっちの論調が強い印象。   今回は、「『漢字は表意文字』というアノ教え方は妥当なのか」を、 専門家の文献を参考に検討してみました。 表音文字・表意文字を整理する 現代の日本語学では、言語を表記する文字は以下の3つに分類します。(子安, […]

【書評】精神疾患の脳科学講義

功刀 浩: 精神疾患の脳科学講義. 金剛出版, 2012/7/10     BACKGROUND ――対象 近年、精神疾患が「脳の病気」であるということは一般にも認識されつつあります。 しかし、具体的に「脳がどう異常を起こしてどんな精神疾患が起きるのか」は完全に解明されているわけではありません。   こうした研究は21世紀の現在、まさに現在進行系で発展している領域です […]

【書評】つくられる偽りの記憶

越智 啓太(著): つくられる偽りの記憶 あなたの思い出は本物か? DOJIN選書, 2014/12/2     BACKGROUND ――対象 自分がもっている思い出は間違いのないものと考えるのがふつうだが、近年の認知心理学の研究で、それほど確実なものではないということが明らかになってきている。 事件の目撃者の記憶は、ちょっとしたきっかけで書き換えられる。 さらに、前世の記憶 […]