【雑記】本を読んだら考える②  本の読み方について

【雑記】本を読んだら考える②  本の読み方について

読書猿
独学大全
絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法
ダイヤモンド社, 2020/9/29

 

前記事回はこちら↓

【雑記】本を読んだら考える①  本の選び方について

 

前回は「本を読む前」の話でしたが、今回は「実際本を読む時にどうやってるか」の話です。

 

体系的な知識が欲しい場合

前の記事で書いたように本を選ぶと、一つの領域に関する複数の本が手元に置かれた状態になるはずです。

そしてその本は、「何も知らない人向け」から「専門家向け」まで、色々な難度に分散しているはず。

「特定の知識領域の全部像を掴みたい」という漠然とした興味の場合には、「広くて浅い本から深い本へ」の順で通読していくことになります。

こういう流れですね。

目標の領域や隣接領域の一般書・学部生向け教科書を眺めてみる

より掘り下げるべき領域を見定める

自分の興味に合う方向で専門家が書いた詳しい本を読む

 

なお、「アタマの栄養にする」という実用性を重視した読書では、「読んだ冊数」をステイタスに感じる価値観が残っていると邪魔になります。捨てて行きましょう。

「読み進めるのに骨が折れる本」こそが本命で、全ての入門書や教科書はそこに辿り着くまでの基礎体力作りと割り切ります。

スラスラ読めすぎる本は精神が安定する効果はあるけど、知的にはあまり栄養にならない。

 

逆に、難しければ難しいほど良いというわけでもありません。

読み足が止まってしまうほど険しい本は、どんなに頑張っても「頑張ってる感」しか得られない場合が多いので、その場合も不適切。プライドを捨てて一段易しい本に戻って学びましょう。

常に「自分にとって3割~7割くらい知らないことが書いてある本」を掴めていれば、レベルコントロールが上手く行っています。

 

このように「読む本のレベル」を手応えに応じて調節することが重要ですが、「読む本の守備範囲」も漸次的に調整します。

一つの興味に沿って収集した本は、いくつかの隣接領域にまたがって分布しているはずです。

読んでいるうちに「あ、この職種の人が書いたやつは欲しいのとチョット違うな」「〇〇学って銘打ってるやつはちょっと切り口が良くないな」みたいな感触が掴めると思うので、そうしたら対象から外れた本は図書館に返却するなり本棚を移すなりしましょう。

最初に選書した書籍群は、あくまで「暫定」です。どんどん差し替えましょう。

 

ピンポイントな知識が欲しい場合

上記のような「通読を基本とした読書」は、「脳の仕組みについて知りたい」とか「心理統計学の基本を学びたい」といった「比較的広い興味」に応える場合に良いと思います。

一方で、私がブログでやっているように「やせるには高負荷トレーニングか? 有酸素運動か?」とか「エピソード記憶って何?」という「比較的狭い興味」に応える場合には、ピンポイントでそのトピックが載ってそうな本を探します。

ただし、この場合にも「本を何冊か束にして集めてくる」という段階は飛ばさない方が良いです。(その方がトータルで見ると手間が少なく済むことが多いのです)

 

読みたいトピックに対して目次と索引から当たりをつけ、その本での該当部分だけを読む、ということを複数の本に対して繰り返し行います。

本当に「該当部分だけ」読むと全然分からないこともあるので、私は概ね「その解説が含まれているページ全体」か「チャプター全体」を読んでみることが多いです。

 

上記のノウハウは、読書猿氏が「掬読」と称した「読み方」に近いですね。

掬読 Skimming はテキストの中から必要な部分だけを選び出し、読む技術である。

【出典】読書猿. 独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法 (Kindle の位置No.4608-4609). ダイヤモンド社. Kindle 版.

 

一度目を通せば「読んだ」と言えるか?

これは多くの書痴が賛成してくれると思うのですが、「2周目の読書」には非常に大きな価値があります。

 

ショーペンハウアーも「続けて2回目を読め」と言っています。

重要な本はどれもみな、続けて二度読むべきだ。

【出典】ショーペンハウアー. 読書について (光文社古典新訳文庫) (Kindle の位置No.1691-1692).  . Kindle 版.

 

本田『レバレッジ・リーディング』には「一度読んだ本は二度読まない」という主張があったので驚きましたが、よくよく読むと彼は「一冊の本の中で、大事なことは全てメモに転記し、後からそれを見返す」という方式を取っているので、厳密には「大事なところだけ二度も三度も読む」という主義のようです。

大事にとっておいて、折に触れ読み返す本は、何冊かあってもいいでしょう。しかし基本的に、一度読んだ本はもう読みません。読むとしたら、メモの形で読みます。

【出典】本田 直之. レバレッジ・リーディング (p.142). 東洋経済新報社. Kindle 版.

とはいえ、「大事だと思うところだけメモする」ということが、たったの一読で可能でしょうか。私はかなり難しいのではないかと思います。

本の内容が断片的な情報の寄せ集めであったり、同じ主張を何度も繰り返すような「わかりやすい本」であれば別ですが……

 

読み応えのある本というのは得てして、全体を通して一つのまとまった情報構造を持っています。

「この本の『幹』となる重要な構造はどこか」を余さず把握するためには、一度「全体」を眺める必要があります。

一回目の読書は、その「全体像」を掴むためだけに費やしても良いくらいだと思います。

そして二回目は、情報の重要度や自分の目的に沿って読み方をコントロールしながら読みます。

 

何をおいても最初は最も大きな幹を把握し、次の目標として幹から出る比較的大きな枝を捉え、そこから細かな分枝や葉や芽へと目を転じていく……という情報の読み取り方がコツです。

これを横着して一回の読書でこなそうとすると、細々とした葉っぱの重なり合いや、枝の交わりを忠実に観察していくことに時間を食いつぶされてしまいます。結局、かえって時間がかかり、収穫も少ない読書になりがちです。

 

三中『読書とは何か』では以下のように述べています。これは私の体感していたものをまさに言語化してくれたように感じました。

私は読書の「往路」と「復路」はどちらもやり遂げて初めて一冊の本を読んだことになると考えている。

【出典】三中信宏. 読書とは何か 知を捕らえる15の技術 (河出新書) (p.60). 河出書房新社. Kindle 版.

三中氏は、「一回目」「二回目」の読書をそれぞれ「往路」「復路」と名付け、往路と復路のセットでやっと「地形」が把握できる……としています。

 

というわけで私は、一周目には「本の趣旨と構造」を捉えることを目的に読み、二周目には「一周目では拾い損ねていた、本の主題に深く関わる本質的な記述」「細部ではあるが、自分にとって覚えておく価値があると思われる記述」を拾い集めるように読んでいます。

ついでに言えば、読書帳を付けるようになってからは読書帳も二周目と並行して書いています。

 

マーカーの使い方

めっちゃ些末な話。

私はKindleを使ってるので、マーカーは最大4色で塗り分けてます。

①筆者が「この本は(この学問は)こういうものです」と明言している記述
②その本(その章)の要点を端的にまとめる本質的な記述
③本質的ではないが、自分にとって覚えておくに値すると思われる記述
④自分として納得できない・反論したい記述

正直、いちばん大事な部分は②③なので、面倒な場合はこれだけでも良いと思います。

量としては②が「その本の1%未満」くらい、③が「その本の1割未満」くらいに収まればオッケー、という感覚です。

 

②のマーカー部分だけを抽出して読めば、その本のダイジェストになります。

③のマーカー部分は、「自分が2周目以降に読む時」の良い目印となります。

Kindleでは色別にマーカー抽出もできるので、①→②→③の順にマーカー部分を拾い読みすれば「幹→枝→葉」の順で本を概観することも出来ます。

「味わう価値のありそうなとこは1周目でホトンド食べちゃったなー」って場合は、2周目の読書では「速読しながら②のマーカー部分だけ拾い読みをしていく」というのもアリ。

 

④は要るかどうか分からないんだけど、個人的にはイチャモン付けながら読む方が頭に入るので、気に入らない時には青マーカー付けて付箋機能で反論書きながら読み進めてます。

その本を人に勧めるときにも「でもこいつの〇〇の説明は20年古いから気をつけてね」みたいな注意喚起が出来るので、付けないよりは良いかなと。

 

こんな感じで。

あと一回の記事でこの連投は一区切りにします。

 

 

Arthur Schopenhauer (原著), 鈴木 芳子 (翻訳)
読書について
光文社古典新訳文庫
2013/5/14

 

The following two tabs change content below.

狐太郎

読んでは書くの繰り返し。 学んでは習うの繰り返し。

0 メディアカテゴリの最新記事