三中 信宏
読書とは何か
知を捕らえる15の技術
河出新書
2022/1/26
「本を読んだら考える」というタグについて
前回の記事から一ヶ月以上空いてしまいました。
ブログ以外にも色々他にやることがあって定期更新を辞めたわけですが、とはいえあんまり間が空くのもそれはそれで寂しいなと。
次のネタを考えて書くぞーとか書かないぞーとか色々言ってますが、書評の企画はまだ練り練りしてるところなので待っててね……。
「一冊の本で一本の記事にすると内容のバランスを取るのが難しい」という反省を活かして「一本の記事で複数の本を毎回出せばいいじゃん」という方向に舵切ったんですが、これ更新頻度が月一とかそれ以下になる気がしています……。
そしてこの新しいタグ「本を読んだら考える」について。
元々このブログは基本的に自分で調べたものや検証したことを載せる(つまりあんまり主観的なものや観念的な話は書かない)つもりだったんですが、「書評の中で本に関連した自分語りを混ぜるより、むしろ記事を分けた方が読者に親切じゃないかな」と思い立ちまして……。
これからまた本の記事を書いていくに当たって、「本の中に詰め込まれている知識」をまとめるドライな記事と、「その本を読んだことで自分が考えたこと」を語るウェットな記事に切り分けて、それぞれに別のタグを付けることにしました。
というわけで、この「本を読んだら考える」というタグは、本の内容について語る記事ではなく、本を読んだことをきっかけに私自身が考えたことを書き留めるためのタグです。
要するに自分語りコーナーですね。役に立つ情報がほしい人は読む必要なし。
「本を読むための本」をきっかけとして、私自身の本の読み方について一度まとめることにしました。
このスタイルも変遷を続けているので、全くもって確立したスタイルとは言えませんが、備忘録的な意味も込めて整理してみます。
前回の記事がアレなので、今回はある意味で「2回連続の自分語り」になるんですが、今日は多めに見てください。
どんな本を狙うか
『探す段階からがとても重要』というのは『レバレッジ・リーディング』の本田氏も述べていますが、確かに私も「本選び」は「読書の一部」だと思っています。
(もっとも、「どんな本が重要か」という点では私と本田氏とは全く価値観が異なるようですが……)
私の場合、だいたい何か気になったテーマや領域があって、本を選び始めます。
そして、「まさしくその答えが載っていそうな本」や「その周辺を固めるような本」を何冊か見繕っていきます。
例えばテーマとしては、「トランス状態とはどういうものなのか知りたい」みたいな興味本位のもの。
このブログで時々書いていた「隙間リサーチ」も似たようなプロセスで資料集めて書いてますね。
もうちょっと興味が漠然としている時には、領域単位で本を収集してみます。
例えば「文字の文化史を調べてみよう」みたいな手の広げ方ですね。
こういう興味のタネは教養系の検定やクイズ界隈から拾ってくることが多いです。
そして探す場所は何のひねりもなく、すぐアクセス出来るとこから探すというだけ。
私の場合は
電子書籍ストア → 一般向けの本屋・図書館 → 大学の図書館・大学の購買
という感じですが、大学生なら大学図書館が身近だろうから、そっち最初に当たってもいいと思う。
難易度と専門性で分散させる
先述したように、一回で複数の本を引き抜いてくるわけですが、この時に「本の立ち位置は分散させる」ことを意識します。
私は多くの場合、「難易度」と「専門性」という2つの軸で分散させています。
「難易度で分散させる」というのは、具体的には新書のような一般書、学部生の教科書、そして専門書や論文、という感じ。
「専門書が読めるレベルなら最初から専門書に当たった方がいいのでは?」と思うかもしれませんが、「専門書は入門書の上位互換ではない」というのがミソです。
一般書や初学者向けの教科書は、「易しい」と言うメリットに加え、「幅広いトピックを網羅的にカバーしている」と言うメリットがあります。
この手の本の目次は、「知識体系の地図」の役割を果たしてくれることもあるのです。
私自身、専門書や学術論文を読むような分野であっても、学部向けの教科書を読んで初めて知ったトピックもあったりします。
情報収集の精度を上げるためには、一般書や初学者向けの教科書もあなどるべからず、です。
「専門性を分散させる」というのは、興味のあるトピックが単一の学問分野に留まらない場合に重要です。というか、大抵の知的関心って学際的な問題を連れてきますよね。
例えば「トランス状態について知りたい」という時には、神経科学、精神医学、神経薬理学、行動心理学、社会心理学といった「異なるバックグラウンドの著者」の本を手にとってみるのです。
大抵の本には巻末やカバー折返しに著者の略歴やバックグラウンドが載っていますから、これがあまり重ならないように選書してみると良いでしょう。
「このトピックって神経科学の守備範囲だと思ってたけど、実際は臨床心理学の視点の方が、自分の掘り下げたい方向性とよく合ってるな」というようなことも結構よくあります。
縁が連れてくる本、本が連れてくる縁
ここまでは「興味や関心に合わせて本を探す」という路線で話をしましたが、「意図せぬ本との出会い」も非常に価値のあるものです。
一冊の本が新たな興味のタネとなり、そこから「これについてもっと知りたいから本を探そう」という広がりを生むこともあります。
私が気の合う友人と話す時の楽しみの一つは「最近読んで面白かった本について語ること」です。
もし相手が話題に出した本が「自分も読んだことのある本」であれば、その本を読んで考えたことなどお互いに語れます。同じ本に対して違った視点が得られるので、本自体への理解も深まりますし、間接的にその友人自身の考え方に対して理解を深めることも出来るからです。
そして、もし話題に出た本が「自分が読んだことのない本」であれば、これは見聞を広めるチャンスです。自分と話の合う人のオススメであればそれほど悪書ということはまず無いでしょうし、この場合も間接的に友人に対する理解が深まるでしょうから、「読んだら必ず何らかの知見が得られると確定している本」と言っても過言ではありません。
ちなみに私は、親しい友人からオススメされた本はほぼ必ずその場で買っています。
普段自分で適当に買う本は1割くらいの打率で「当たり」が出れば良い方ですが、私を知る人が私に勧めてくれる本は十中八九「当たり」ですから。「当たると分かっている宝くじ」を買わない理由はありません。
近年では書評ブログやSNSが擬似的にこのような機能を果たしている場面が多いかもしれません。
私も大学生の頃にはネットで本読みの人と繋がったり書評を検索したりして、色々な面で随分助けられた記憶があります。
ただ、やっぱり「生身で語り合う知的な友人」というのはかけがえのない存在だなぁ、というのがここ数年での実感です。
長くなったから今日はこの辺でおしまい。
続きはまた今度ね。
あんまり気合い入れて書きすぎず、長くなったら記事分割。
これも新生活から心がけていきたい継続のコツね。
本田 直之
レバレッジ・リーディング
東洋経済新報社
2006/12/1
狐太郎
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